災害医療

概要

[災害拠点病院とは]

大規模災害発生時において24時間被災地内の傷病者の受入れ等の診療体制を持ち、DMAT(災害派遣医療チーム)を保有し、派遣体制が整えられていること、そして他の医療機関のDMAT等の受け入れ態勢ができることなどがあげられます。
また連携機関と定期的な訓練も実施を行うことが必要です。
そして重篤な傷病者を受け入れられる事も必要となります。
設備・施設面においては、耐震構造やヘリポートを持っていることが望ましく、病院内においては多数傷病者発生時の対応可能なスペースを確保しなければいけません。
また、食料や、燃料、貯水、薬品などの備蓄を持ち、停電時には自家発電機で対応する機能も必要です。
そして通信機能に関しても通常の電話が使用できない時は衛星電話等の非常時でも使用できる通信の確保が必要となります。
ここにあげたのは一部だけですが、災害拠点病院は非常時においても対応できる機能が求められます。

[地域の災害拠点病院として]

小波瀬病院は平成24年11月27日に地域災害拠点病院としての認定を福岡県から受けました。 地域の災害拠点病院として、資機材や設備の整備、関係機関と連携を取り日頃から備えに当たっています。 また毎年院内の災害訓練(多数傷病者対応訓練)を実施しており、その他にも政府主催の訓練や九州・沖縄ブ ロック、県の防災訓練等にも参加し、有事の際に備えています。

DMAT ・災害チーム

[DMATとは]

DMAT:Disaster Medical Assistance Team(災害派遣医療ーム)
平成17年に厚生労働省が整備した事業
あらゆる災害に対応するために、専門的な訓練を受け、災害発生時の超急性期(48時間以内)に被災地へ駆けつけ、医療を展開する災害派遣医療チームです。

[小波瀬病院のDMAT]

小波瀬病院は平成25年にDMAT指定医療機関となりました。
現在当院には22名のDMAT隊員が、その内インストラクターが4名(医師1名、業務調整員3名)在籍しています。

[小波瀬病院災害チーム]

当院ではDMAT隊員を含め、院内より災害医療を学びたい職員を対象に災害チームを作っています。
現在、31名(医師:4名、看護師:12名、調整員:15名)が在籍しており、2カ月に1回担当者を決めて、定期的に勉強会を行っています。
その他にも院外の研修会等に積極的に参加をし、災害医療を学んでいます。
DMAT隊員でない災害チームのメンバーは、ここから福岡県DMAT、日本DMATを目指していきます。

[小波瀬病院DMATユニフォーム]

災害拠点病院としての取り組み

・平成24年11月 地域災害拠点病院として福岡県より指定を受ける
・平成28年1月 災害医療対策室設立 
・熊本地震、西日本豪雨災害等の実災害の対応
・2カ月に1回、院内災害研修会実施(救急災害対策委員会主催)
・DMAT指定医療機関
・年1回の大規模災害訓練
・地域消防機関や他の災害拠点病院との連携
・DMATの各種訓練(政府訓練、ブロック訓練等)
・院内DMATおよび災害チームの勉強会、訓練
・全国のDMAT隊員の育成と地域DMATのブラッシュアップ
・JICA国際緊急援助隊(JDR)医療チームへの参加
・車両の整備(ドクターカー、ラピットカー、 DMATカー)
・非常食、薬品等の備蓄の整備
・個人装備、資機材の整備
・DMAT活動計画の作成
・事業継続計画の策定

DMATカー

当院は南海トラフ地震等の大規模災害時に対応するため、平成30年に災害派遣に特化した車両、DMATカーを導入いたしました。
この車両は、移動手段だけではなくDMAT隊員の休憩や就寝、シャワー、食事等の長期間対応できる生活環境も整備されており、診察に関しても診察や患者搬送も行えるような機能を備えています。
また、情報収集や発信を行うための通信機器やテレビ、パソコン等も整備されています。

[運転席]

2t超ロングのトラックベース
運転席も高く、視野が広いため、運転がしやすくなっています。
中央には緊急走行の為の操作パネルがあります。

[通信環境]

災害医療に関して通信環境を整えるのは必須です。
そのため小波瀬病院のDMATカーは様々な通信環境を整えています。
(テレビ2台、パソコン、衛星電話、IP無線機)

[生活環境]

災害派遣時は、被災者(傷病者)の救援はもちろんのことですが、支援をするDMAT隊員も休息が必要です。
そのため、生活環境も整えています。

[傷病者搬送]

車両後方には患者搬送のためのストレッチャーも収納できるようになっています。

[装備]

後方にはユニフォーム、ベスト、防寒着、ヘルメット等の個人装備の収納スペースもあります。

[中央座席(休憩場所および診察室)]

車両中央にはテーブルと座席がついており、DMAT隊員の移動の時や休憩をとる場所となります。
また、必要時にはこの場所で傷病者の診療も行うことができます。

活動実績

[実災害]

熊本地震 平成28年4月
災害概要

熊本県熊本地方では、14日21:26頃にM6.5最大震度7を観測する地震が発生した後、16日01:25頃には一連の地震活動で最大の規模となるM7.3最大震度7の地震が発生した。
これらの地震の影響で、揺れの強かった熊本県、大分県などを中心に九州地方の広い範囲で死傷者や家屋の倒壊、火災、土砂災害などの被害が多数確認されている。

[4月14日]

21:26

熊本地方に大きな地震が発生
当院のDMATは連絡を取り合い、病院へ参集。
他の医療機関やDMAT事務局と連絡を取り合い情報収集を行う。

[4月15日]

0:57

九州ブロックのDMATに派遣要請
当院のDMATは2チームに分かれ参集拠点である熊本赤十字病院へ出動。
到着後、1チームは益城町の避難所へ、もう1チームは熊本県庁の10階に設置された災害対策本部内へ向かった。
県庁内では医療本部内のDMAT調整本部で活動を行い、そこでは医療機関や避難所のアセスメントを実施。

[4月16日]

1:25

本震
震度7の揺れを県庁10階で被災、その後地域の医療機関等のアセスメントと活動しているDMATの安否確認を実施。
病院支援、病院避難等の活動が行われた。
災害対策本部では、消防機関・自衛隊・海上保安庁等様々な機関と連携を行い、被災者の救護・救援を行った。
また病院の避難では夜を徹して11施設、1,535名の患者の避難を実施。

[4月17日〜18日]

DMAT参集拠点本部(福岡空港) 全国からDMATが熊本県へ入るため、福岡空港ターミナル内に参集拠点本部設置の要請あり。
福岡空港と協議を行いその日のうちに決定。
愛知県のDMATロジチームと合同で展開し、全国から福岡空港に来るDMATの調整を実施。
約200名のDMAT隊員が参集。レンタカーやバスにて熊本赤十字病院、阿蘇医療センターへ派遣。

[4月19日]

熊本県災害対策本部(熊本県庁:DMAT調整本部)再び熊本県庁へ。
現地調査やロジスティックス面の調整を実施。

[5月初旬から下旬]

熊本県医療救護調整本部(熊本県庁)、上益城圏域保健医療救護調整本部(益城町保健福祉センター)熊本市、益城、菊池、阿蘇地域における亜急性期の対応。
~地元の方々を地元の医療へ~
・避難所過密対策
・DVT対策
・熱中症対策
・感染症対策
・ラップポン配布
・マットレス対策
・益城町診療アクセスバス(入浴バス)
・トレーラーハウス
・J-SPEED運用

[6月3日]

熊本県医療救護調整本部解散

九州北部豪雨災害 平成29年7月
災害概要

平成29年7月5日、福岡県と大分県に大雨特別警報発令
同日、筑後地域に大雨が降り、河川氾濫や土砂災害などが発生
6日、福岡県庁内にDMAT調整本部を設置、また朝倉市役所内の災害対策本部にDMATを派遣(同市役所に活動拠点本部設置)
多数の行方不明者が発生し、救出救助活動が行われる
孤立地域より各機関のヘリコプターにより甘木公園へリポートへ搬送される
7日早朝においては、北九州地域にも猛烈な雨となり、主流河川の警戒水域を超える。また、がけ崩れなどが発生

朝倉地域

・朝倉地域、東峰村地域に1時間約130mmの豪雨
・24時間計測では500mmを超えた
・同地域に避難指示発令
・河川の氾濫、土砂崩れなどにより家屋等多数の倒壊発生
・死者、行方不明者が多数発生
・各道路が寸断され、孤立地域発生

北九州地域

・7月7日早朝北九州地域においても最大1時間に約150mmという記録的大雨を観測
・主流河川が警戒水域を超え氾濫寸前となる
・北九州市全体に避難勧告および避難指示発令
・ほとんどのアンダーパスが浸水
・各所で土砂災害が発生

[7月5日]

大雨特別警報発令
当院DMAT隊員3名が福岡県庁へ登庁。
朝倉地域の医療機関のアセスメント実施、同時に被災地外の医療機関と連絡を取り、透析患者等の受入れの調整を行う。

[7月6日~9日]

夜が明けるにつれて被害の大きさが露わとなる
福岡県庁に医療本部(DMAT調整本部)を設置。
また朝倉市役所災害対策本部内にDMAT活動拠点本部を設置。
・避難所、病院支援
・行政や消防、自衛隊、警察、海上保安庁等情報交換を行い、孤立した地域からの被災者
 の救助・救出
・救出された被災者のメディカルチェック

西日本豪雨災害 平成30年7月
災害概要

7月5日午後より北部九州地方からはじまり、西日本全体に記録的豪雨が発生
福岡県、広島県、岡山県等、多県にわたり、大雨特別警報が発令
各県で土砂災害、家屋倒壊、人的被害が多数発生した

病院内での対応

7月6日から7日 仮災害対策本部設置
大雨警報発令およびEMIS警戒モード切替に伴い、院長へ許可を得て、災害医療対策室に院内仮災害対策本部を設置
下図のような組織を作成し情報収集を行い、職員へ注意喚起を発信する

[7月6日]

17:10

福岡県に大雨特別警報発令

[7月7日]

5:30

院内の現状確認⇒昨日と変わらず。院内被害なし
職員へ大雨に関する注意喚起をメールで発信(第4報)
気象情報、病院の状況、地域の状況
院内DMAT隊員へ情報共有
各医療機関の状況確認

7:59

苅田町の土砂災害警報解除

8:10

北九州および京築地域の大雨特別警報解除
DMAT事務局より県内の避難所のスクリーニングを検討の指示あり

9:00

院内災害対策本部解散

災害派遣(広島へDMAT派遣要請)

[7月8日]

12:59

福岡県から連絡あり。広島県よりDMAT派遣要請が入ったとのこと
当院DMAT院内参集し、出動人員の決定および資機材・車両の準備を行う

17:00

福岡県内より12医療機関(DMAT施設)の派遣が決定

17:37

出動

[7月9日]

広島DMAT活動拠点本部(県立広島病院内)へ到着、ブリーフィングを行い、当院を含め7医療機関が呉への派遣指示
出動後、呉までのアクセスが途絶えやもなく撤収となる
夕方、福山尾三DMAT活動拠点本部(福山市民病院内)へ派遣指示

[7月10日]

福山地域のアセスメントを実施

令和元年佐賀豪雨災害 令和元年8月
災害概要

九州北部地域に8月26日ごろから断続的な大雨が降った。
28日には100mm以上の大雨が観測され、5時50分に福岡県、佐賀県、長崎県に大雨特別警報が発令された。
この影響で、道路の冠水や河川の氾濫、土砂災害などが発生した。
佐賀県杵藤地域では1つの医療機関が浸水、さらに広範囲にわたる冠水が発生したため、この医療機関へのアクセスが困難となり孤立状態となった。また近隣の工場より工業用潤滑油が流出した。
この豪雨災害による佐賀県内の最大避難者数は1,401世帯、2,919人にも上った。

[8月29日]

当院災害医療対策室よりDMATロジスティクスチームとして2名佐賀県へ派遣。
1名は佐賀県庁へ、もう1名は杵藤地区の杵藤保健所へ派遣された。

[29日夜]

佐賀県庁の佐賀県保健医療調整本部では災害の全体像を共有するため、県庁各課、関係省庁、DMAT、他の関係機関とクラスターミーティングを実施。
継続して医療機関のスクリーニングを実施し、医療ニーズに関する情報の収集・分析を行い、関係機関との連携を図った。
また、床上浸水した医療機関へDMATを派遣し、更なる支援ニーズの調査を実施し対応に当たった。

[30日]

杵藤地域保健医療調整本部が設置され、現地でのスクリーニング強化(避難所や医療機関)を実施。

主な活動内容

・両調整本部の運営サポート
・孤立医療機関のアセスメントによる資源対応
・避難所のアセスメント
・健康被害を防ぐためのアナウンス
・その他行政機関のサポート 等を実施

各関係機関が連携し、急性期から亜急性期へシームレスに医療をつなぎ、DMATロジスティクスチームは9月2日にDHEATに引継ぎ活動を終了した。

[訓 練]

院内災害訓練(大規模災害時多数傷病者対応訓練)

小波瀬病院では、年に1回大規模災害が発生した事(地震、列車事故等)を想定し、院内訓練を行っています。
院内訓練では当院職員はもとより、地域の消防本部や医療機関と連携し実施しています。

北九州空港航空機事故救助救難訓練

小波瀬病院の医療圏には北九州空港があり、2年に1回航空機事故を想定した訓練を実施しています。
この訓練には、北九州空港の他、消防、自衛隊、警察、海上保安庁、医師会等多種にわたり合同で行っています。

消防機関との合同訓練

地域の消防本部と連携して高速道路事故等の多数傷病者発生時による訓練を実施。
救急医療だけではなく、災害発生時においても消防との連携は必要です。

第七管区海上保安本部、陸上自衛隊航空班による傷病者搬送訓練

熊本地震や東日本大震災、九州北部豪雨災害時などでは海上保安庁や自衛隊のヘリコプターで傷病者等の搬送が行われました。
小波瀬病院は敷地内にヘリポートを有しており、有事の際に患者搬送が行えるように訓練を行っています。
また洋上救急協議会にも参加しており、海上での傷病者対応も行います。

~すべては被災者のために~

one for all all for one

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